越境ECとは?海外ネットショップを始める前の「基礎知識」

越境ECとは?ECサイトの売上拡大を目指すなら、ネットショップを海外出店しませんか?越境ECの意味から海外Web出店の基礎知識まで、現地の消費者に商品を販売する有効な方法をご紹介します。早速、越境ECの準備を始めましょう!

越境ECとは?

越境ECとは、国境を越えて通信販売を行うオンラインショップのことです。近年有望なビジネス形態として日本でも注目を集めていますが、そのきっかけは訪日中国人客による爆買い現象でした。来日した観光客が日本のネットショッピングやサービスを利用したことで、帰国後もリピート買いや知人友人への口コミが派生し続けるなど、越境ECの大きな可能性が生まれたのです。世界的にみても越境EC市場は拡大しているため、海外にネットショップを新規出店すれば、EC事業の売上拡大につなげることが可能です。

越境ECを始めるかどうか悩んでいる人は、市場規模からチェックしてみてはいかがでしょうか。越境ECを始めるにあたっての社内プレゼンにも使える数字ですので、知っておいて損はありませんよ。

越境ECの市場規模

基礎知識として、まず国内ECの状況からお伝えすると、日本における2015年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は13兆7,746億円でした(前年比7.6%増)。2010年の同市場規模は7兆7,880億円だったので、5年間で約1.8倍に成長しています。*1

次に、本題である越境EC(BtoC)の市場規模については、日本・米国・中国の3カ国間における取引額の比較表がありますので、以下をご覧ください。*2

越境EC市長規模(2015)(単位:億円)

(消費国)
日本からの購入額 米国からの購入額 中国からの購入額 合計
日本  — 2,019 210 2,229
米国 5,381  — 3,656 9,037
中国 7,956 8,442  — 16,398

出典:経済産業省ウェブサイト

平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備報告書」(経済産業省)を加工して作成

この表によると、2015年の日本・米国・中国の3カ国間の越境EC市場規模は、日本が推計2,229億円、米国が推計9,037億円、中国が推計1兆6,398億円でした。

特に日本からの購入額に着目すると、米国は5,381億円、中国は7,956億円となっています。米国と中国は世界的にEC市場規模が大きい国で、越境ECに関しても米国は日本からの購入額が多く、中国は購入額の伸び率が高いなど、日本の事業者にとって良いお客様となる可能性が高いです。

一方で、「越境EC市場はこれからも伸びるの?」という心配が頭をよぎるのではないでしょうか。
越境ECの将来的な市場規模についてはあくまで推計ですが、前出の経済産業省の報告書によると2019年には米国市場が2015年比約1.57倍の1兆4,193億円に、中国市場は同比約2.94倍の4兆8,145億円にまで成長すると考えられています。その結果、米国の越境EC市場は日本の4倍以上、中国の同市場は日本の14倍以上となる見込みです。

また、2014年の段階で、日本や米国の総人口に対するインターネット人口の割合は既に80%を超えていますが、中国は50%程度とまだまだ伸び代が大きいため、しばらくは中国が越境EC市場を牽引しそうです。

越境ECのメリット

国内消費が鈍化して閉塞感が拭いきれない昨今は、越境ECが非常に魅力的な市場に映りますが、越境ECにもメリット・デメリットの両面があります。
越境ECの主なメリットとしては、次のような点が挙げられます。

 
  • 越境ECは商圏が絞られない。新規顧客獲得による売上拡大が見込める
  • 現地で実店舗を経営するよりもECサイトを運営する方がハードルは低い
  • 海外企業でも参入しやすい環境やサービスが整ってきている
  • 英語で対応することで様々な国との売買が対応可能になる

近年は参入の手軽さもアップし、日本国内向けの自社ECサイトがあれば簡単に越境ECが始められるサービスを提供する業者が増えたため、幅広い選択肢から参入方法を決定することが可能です。
また、アジア市場において日本製品の品質が一目置かれていることや、中国との物理的な距離の近さも、越境EC市場では有効に働く要素だと言えるでしょう。

越境ECのデメリット

続いて、越境ECのデメリットについて考えてみましょう。
主に、次のような点が挙げられます。

 
  • 言語、決済方法、発送手段などを販売先の国に合わせる必要がある
  • 販売先の国で適用される法律や規制についての知識が必要・代金未回収や返品未回収のリスクがある
  • 日本国内よりも輸送コストが高く、紛失リスクもゼロではない
  • 外貨決済は為替変動リスクがあり手数料もかかる

現地生産の品物を販売する場合を除き、取引上の手間や輸送コストは国内販売よりも増えることが一般的です。しかし、それ以上に気になるデメリットは、代金回収時のリスクでしょう。リスクを最小限に抑えるためには、海外クレジットカードの不正使用を防ぐセキュリティ対策、為替変動で損をしない日本円建て決済の導入検討、外貨決済なら信頼できる決済システムを提供する業者の選定などが重要となります。

ヤマトフィナンシャルの越境EC向け決済サービス

また、国民性などの違いから、コミュニケーション上のトラブルが発生しやすい傾向もあります。
たとえば、消費者が支払う関税や消費税などの税金を安くしたいために、インボイス(invoice:販売者が発行する販売明細書。請求書や送り状としての役割も持つ)の価格を実際よりも低く偽造するように要求されるケースなどが想定されます。

こうしたリスクやトラブルを想定すると、越境ECサイトを自力で開設するよりも、現地の越境モールの仕組みなどを利用したほうがデメリットを回避し易いという考え方もあります。

越境ECを始めるための準備とは?

越境ECサイトでは、例外もありますが、日本国内のネットショップで扱っているほとんどの商品を販売できます。
まず、日本国内のBtoC-ECサイトが扱う商品には3タイプあり、「物販系」、「サービス系」、「デジタル系」に分けることができます。物販系の商品は衣類、生活家電類、食品類、雑貨類など、サービス系の商品は旅行、金融取引、チケット販売、理美容、飲食など、デジタル系の商品はオンラインゲーム、電子出版、有料動画配信などとなります。
これら3タイプのうち最も越境ECに取り組み易いのは、オンライン上で全ての取引が完結するデジタル系分野だと言われています。

1.商品の準備

物販系の越境ECサイトの場合は、当然ながら商品の在庫と配送方法を確保する必要があります。輸出入のハードルが高い商品もあるので、以下の点を確認しておきましょう。

販売前確認事項

・日本からの輸出に規制がかかる商品
ワシントン条約対象となる商品や、ダイヤモンドの原石、インク類などは通関に特別な手続きが必要となることがあります。詳しくは輸出貿易管理令で確認できます。
また、農作物や植物は輸出先の国によって検疫条件が異なるため、農林水産省の植物防疫所ホームページなどで確認してください。
・国際間輸送で送れない商品
国際航空運送協会(IATA)が危険物として規則する商品は発送できません。たとえば花火、ペイント類、バッテリー、個人用小型酸素発生器などが該当します。
・輸入関税や輸送費が高い商品
現地に設立した法人が商品を輸入する際の関税が高い商品や、輸送費が高いかさ高の商品などで、なおかつ現地でも購入可能なものは、販売しても利益を出すのが難しいことがあります。

輸出貿易管理令:経済産業省 九州経済産業局

輸出入条件詳細情報:農林水産省 植物防疫所

2.販売するターゲットを考える

広い世界市場に一度目を向けると、ターゲットを絞りこむのがもったいないような気がするかもしれませんが、市場規模が大きければ自然と売上増につながるというほどEC事業は甘くありません。販売ターゲットがあいまいでは販促手法も定まらず、無駄な施策が多くなってコストも増大してしまいます。
そのため、販売したい商材のニーズがある国や地域はどこか、購買・消費行動の特徴(大容量の商品が好きか、小分けの商品が好きかなど)、主要な言語や為替変動の影響なども考慮したうえで、ターゲットを設定しましょう。

なお、前出の経済産業省の報告書によれば、中国の越境EC利用者は、24歳から35歳までの若年層が中心で、高学歴・高収入・大都市在住という特徴があるそうです。
また、日本・米国・中国の越境EC市場に共通して最も購入されている商品ジャンルは「衣類・アパレル」です。日本では次いで2位が「旅行」で、3位が「本、音楽・映像商品」。米国の2位は「音楽・映像・デジタルゲーム」で、3位が「おもちゃ・ホビー」。中国の2位は「化粧品・コスメ」で、3位は「食品・アルコール」でした。
このように、各国の国民性や嗜好の違いが消費行動に現れるため、現地の情報を集めながらターゲットを検討することが大切です。

3.越境ECサイト出店パターンを決める

出店パターン 売上期待値 難易度
1.現地法人の設立 ★★★★★
2.自社のグローバル対応 ★★★★
3.現地モール※ ★★★
4.日本の越境モール ★★
5.海外個別対応 ★★
※集客には現地でのプロモーションが必要

越境ECサイトを出店する方法は、上表のように何パターンか考えられます。
1と2は、現地法人や支店を開設して対応する方法のため難易度が高めです。それに対して、5は日本国内向けのオンラインショップを活用しつつ必要に応じてサイトの翻訳・多言語対応や海外配送に対応する方法で、4は海外対応済みの国内モールに出店する方法のため、どちらも難易度は低めです。
この中でオススメなのは、3の現地モールサイトへの出店です。この方法なら現地ルールに沿った運営により売上拡大を目指しやすく、現地の消費者が慣れている決済方法や出荷システムを利用できるなど、出店の難易度もさほど高くありません。

中国の現地モールサイトについては、天猫国際(TmallGlobal)が2013年に、JDWorldWide(京東全球購)日本館が2014年に誕生し、現地法人でなくても越境ECが出店可能になりました。一方、米国の現地モールは、ご存知Amazonの他にも大小様々なサイトがあり、たとえば日本のZOZOTOWNのような品揃えのファッション越境ECサイトFarfetchや、Creemaのようなハンドメイド品を扱う越境ECサイトEtsy.comなど特色あるサイトが多くみられます。

現地モールを利用するとしても、プロモーションは他人任せにしないことが成功の秘訣となります。どこの国でも、「口コミ」は消費を左右するポイントになるので、FacebookやInstagramなどの国際的SNSツールや、中国市場に対してはローカルSNSである微信(WeChat)や微博(Weibo)を販促に利用することも検討しましょう。
とくに中国ではGoogleがほとんど機能せず、独自の検索エンジン百度(Baidu)があるものの、海外企業がこれを攻略するのは簡単ではないと思われますので、現地モールやSNSを上手く活用することが重要です。

既に、日本国内で自社ECサイトを構築している人なら、その資材や運営ノウハウをベースに越境ECサイトを構築していけることは間違いありません。ただし、日本国内向けのサイトを単に英語対応するだけでは、売上拡大につなげることは難しいでしょう。越境ECに本気で取り組むのなら、それなりの人員や予算を配備して現地に入り込んでいくことが大切になりそうです。

自社サイトの作り方はこちら

まとめ
越境ECの意味とその可能性について、お分かりいただけたでしょうか?ネットショップの売上や顧客数の拡大を目指すなら、世界中に販売機会を求めることができる越境ECに取り組まない手はありません。
今回は、越境ECのなかでも主要なBtoCについてご説明しましたが、他にも、企業によるBtoB(企業間の電子商取引)や、個人によるCtoC(消費者同士の電子商取引)を行うために越境ECを始める人も増えており、実店舗と越境ECサイトを連携させてビジネスチャンスを広げるのも有効な手法と考えられています。越境EC向けの新しいサービスや支援がはじまる可能性もまだまだありますので、今後もどうぞご注目ください。

 

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